京都建築大学校の売りは在学中に唯一二級建築士の資格が取れることです。
では更に難易度が高いという一級建築士のサポートはあるのでしょうか?
最新の情報は分かりかねますが、私の時代がどうだったかをお伝えしますね。
一級建築士は二級建築士よりはるかに難しく、合格率は1割程度の超難関資格ということは皆様もご存知のことと思います。
まず一級建築士の対策講座といって二級建築士のような手厚い講義はありませんでした。
そういった手厚い講義は、学校と提携している総合資格学院さん等の資格学校に別途お金を払って働きながら受講します。
二級建築士の試験が終わったら総合資格学院さんから特別価格で一級建築士の対策講座の勧誘がきていました。
学生のうちから始めた方がいいよと誘われて100万円近くのローンを組む学生もいます。
在学中から一級建築士の対策を行いたい方はこの方法が一般的です。
では学校案内の一級建築士対策講座とはなんなのか?
これには私も期待はずれでした。
一級建築士の対策講座を受けられるのは建築学科(転学を含む)でかつ二級建築士とインテリアプランナーのどちらにも合格している者(当時は20名程度)しか受ける権利がありませんでした。
どんな対策かと言うと学科ではなく製図の方で、過去問の模範解答を模写するという授業が片手で数えられる程度あるだけで、全く身にならないものでした。
大した添削もないので縮尺をイメージしたり小論文を書いたりして"今の自分では到底敵わないレベルの試験であることを自覚しスピードを上げる努力をするように"といった教えを頂く授業だったとよく覚えています。
ただし少し前に一級建築士の資格制度自体を見直す検討がなされているという話を聞きましたので、これから先その試験制度に対応するのならばKASDは根幹からひっくり返ってしまいます。
実務は後で積むとして一級建築士を学生でも受けられるようになる今回の改変が行われれば、どこの大学でも一級建築士の学科が取れるようになってしまいます。
そうなってしまうと二級建築士の在学中合格は意味をなさなくなります。
この辺りの時代の流れを学校側がどのように見据えているのか、オープンキャンパスで生徒ではなく教員にしっかりと確認するようにしてください。
オープンキャンパスなどで学生に聞いてもこのような先の話は誰も知りませんし、現状の一級建築士の対策についてさえ学年のひと握りしか受けたことがないという状況ですので的確な答えを得ることは難しいでしょう。
他大学も資格学校と組んで卒業後の一級建築士対策講座の受講料を割引する制度が整っているので、KASDが得とは限りません。
またKASDの優秀な生徒はもちろん、名門大学の優秀な生徒でさえ一発ではほとんど通らない試験になります。
毎年KASDの卒業生は20~30人程度合格しているのではないかと思われますが、学年で見ると多くてせいぜい3人くらいだと思います。
多くの卒業生が早く一級建築士をとろうと頑張ってはいますが、なかなか受からなかったり仕事が忙しくて余裕がなかったり、はたまた金銭的な理由や自分の仕事の規模により、そこまで必要がないと判断して二級のまま過ごされている方の方が割合としては高いと感じています。
落ちるたび受講料100万円を払っているとなんのために働いているのか分からなくなってきますので、ここで諦めざるを得なくなってきます。
会社にもよりますが一級建築士の資格手当か貰えたり、お祝い金や資格補助などの支援がある場合は活用してお得に受けることもできます。
結局のところ一級建築士の資格はよく例えられる足の裏の米粒のようなものです。
自分の懐事情や出世、設計したいものの規模によって各自判断されるのがよいでしょう。