質問箱を設置してからさまざまなご質問を頂きました!
どんなことが知りたいのか、何が不安なのかが少し分かってきました。
今回から頂いたご質問の内容から推測し、進路に悩む皆様にお答えしてまいります。
以前私は京都建築大学校と国公立なら後者を選んだ方がいいと記載していました。
でもKASDで学んだことに後悔はありません。
ただこの記載については、私の単なるないものねだりなのかもしれません。
一個人の意見として記事を書いていますので、あくまで参考として「こんな考えの卒業生もいるんだな」というふうに流し読んで頂きたいのです。
詳しくお話します。
まず現実的な問題からまいりましょう。
国公立と私立の4年制専門学校では学費に大きな差が出ます。
学費を支払うのが保護者でも学生本人でも、安い方が助かるに違いありません。
こちらはご家庭でご相談頂く話ですので、ご家族の理解と協力が得られるのならこの質問の論点ではありませんね。
では実際に卒業してみて感じた大きな差はなんでしょうか?
それは学習意欲と処理能力です。
私は圧倒的な差を感じました。
KASDは人数は多いですが、専門学校にも関わらず「受かったからとりあえず入学した」「大学が全滅で気付けばここしか受験できなかった」「資格があれば将来安泰かと思った」など、建築を学びたい気持ち(モチベーション)が高くない生徒も一定数います。
大学にそういった動機の生徒がいないとは言えませんが、大学入試という一定レベルの篩をクリアした人が集まっているので、学力的に高いと言えるのは間違いないですね。
ここでこの二つを比べる時に、比べる対象として正しいかの判断が必要という話をします。
大学とKASDには学生生活の目的が異なります。
国公立に限らず大学は建築という分野で将来生きる基礎知識やデザインを学びます。
大多数が大学院へ進み有名アトリエ設計事務所や大手のゼネコンで大きな建築をつくることを目的としていると思います。
(もちろん個人によります)
つくるという言葉に惑わされないでほしいのですが、これは現場で細かく指示を出したり実際に施工したりする意味ではなくその前段階の計画から行うというニュアンスで捉えてください。
一方KASDは二級建築士やインテリアプランナーといった資格を取り就職に有利にすることが目的です。
デザインや計画よりも資格取得がメインです。
裏を返せば実際社会に出ればこの業界の大多数を占める「資格があってもデザインできない」という人材が生まれる可能性があります。
資格は学生のときに取っておけばアドバンテージになりますし、社会人になりたての頃ははとても楽です。
他の同期が二級建築士の勉強に追われる中自分は仕事に集中できます。
でもその余裕は同期が資格を取得すればなんの差もなくなり、むしろデザインを学んできた相手に追い抜かれてしまいます。
結論を言えば、大卒での就職に関してはKASDで資格を取っていることで有利に働くこともあります。
ただし働かないことがあるのも事実です。
資格は就職してからでも取れます。
でも社会人になってデザインなどを教えて貰える環境はほとんどありません。
自分で積み重ねていくにも学生の頃の過ごし方で大きく変わってくるのではないでしょうか。
大学は学力の篩があるぶん学生のうちにデザインに集中させ、資格については学校のサポートがなくても当たり前に受験し合格するというスタンスだと感じています。
私のないものねだりの話に戻ります。
私は文系だったため、建築に進むにはこの方法しかありませんでした。
もし理系で学力もあったとしたら、きっとたくさんの選択肢が広がりデザインを学ぶことができたかもしれないなと今でも思います。
かつては私もデザインよりまずは資格と思い他の大学と比較することはありませんでしたが、自分のデザイン力やプレゼン力が成長していないと感じたことでこのように思うようになったのです。
いかがでしたでしょうか?
皆様の疑問に少しでも寄り添えますように…